*雀荘 Bob*
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DATE: 2006/09/24(日)   CATEGORY: DD小噺
雀荘Bobの片隅にて
*ご注意*

・えーと、これは何かと言いますと。
ヨツハさんの所の、ヘルマンさんの報告書を拝見して、
何となく生まれてしまった(ヨツハさん、勝手にすみませぬ!)小噺です。
とは言え、勿論勝手な九十九の創作物ですので、何ら関わり等を強制する物では
ありませんのでいやもうほんとすみません(ジャンピング土下座台・設置

・文章力とかそういう物がとても可哀想な九十九の書く物ですので、
その辺、ちょっと温めの視線でご覧下さると幸いです。というか、お願いします。

・たまには、麻雀馬鹿の裏側の雰囲気も描写してみたいなーと思って手を付けた割には、
あんまり普段と変わらない気もしま す(げっふ
あと、久々に“彼”を出したかった。

・最初危うく、本格闘牌SSになりそうだった所を無理やり削ったりしましたが。
それでも、何か無駄に長いです。

・後々、姑息にちょこちょこ修正するかもしれません。


以上を鑑みて、色々覚悟完了な方はどうぞー。↓
***


「な、ちょっ…単騎かよ…」
「…その待ちはねぇだろ…」

卓を囲んでいた男達の口から、次々と苦い声が上がる。

「…やめだ。今日はついてねえや、またな姉ちゃん」

男の一人が、短くなった煙草を山盛りの灰皿に無理やり押し付け、席を立つ。そのまま自分の負け分を忌々しげに卓上に置くと、それを合図にしたかの様に他の男達も無言の渋面でそれに倣った。通常の生活観念からすると決して小額では無い金が、深緑のマットの上に舞う。

「やあ、お開きかな?お疲れ様、また宜しく──」

どうやら一人勝ちしたらしい黒スーツ姿の女が、男達とは対照的な涼しい顔で応えた。

「…次は返して貰うからな!」
「ああ、畜生。ヤケ酒代も残ってねえ…」
「…カカアにぶん殴られるな、こりゃ…」

捨て台詞やら愚痴やらにも疲労の色を濃く滲ませ、肩を落としながら去って行く三人の男達。
女は終始変わらずの微笑を浮かべたまま、煙草を持った片手を軽く掲げ彼らを見送った。

深夜のリッシュモンド繁華街の一角。
“雀荘 Bob”で繰り広げられていた今宵最後の勝負は、こうして幕を閉じた。

***

営業時間も終了し、既に他の客もなく。先程までの喧騒が嘘の様に静まり返った店内で、未だその場に座ったままの黒スーツの女──J・フェブラリーは、ゆっくり紫煙を燻らせていた。やや伏せられた濃い紫色の瞳に、ゆらゆらと立ち昇る煙が映っては消えていく。

周囲からはよく、“何を考えてるのか分からない”と評される表情を浮かべ、Jは今夜の闘牌をぼんやりと振り返っていた。今、その頭の中では先程の勝負の牌譜が、第一局・第一打から寸分違わず再生されている。

「よう、終わったか」

──と。不意に掛けられる、聞き馴染んだ声。牌譜再生に没頭していたJは、思考を中断して視線をそちらへ向けた。エプロン姿の中年の男が、店の奥からグラスを二つ携え近付いて来る。

「…あんま、堅気のおとっつぁん達を苛めないでくれよ?」

卓上に投げ出されたままの金を見て、中年男──雀荘の店主・ボブが、苦笑する。

「これに懲りて足が遠のかれたりすると、商売上がったりだからな」

店主らしい心配を口にしつつ、気安い所作で片方のグラスをJに渡す。グラスを満たしているのは、聞くまでも無くジン・トニックだろう。仕事上がりにこれを一杯引っ掛けるのが彼の習慣だという事を、付き合いの長いJは知っていた。

「サマ無しヒラ打ち、赤入りは…あちらが言い出した事だし。…苛めどころか、凄い優しい勝負だったと思うんだけどなあ」

受け取ったジン・トニックで喉を潤しながら、Jがちょっと心外そうに呟く。

「まあ、リッシュモンドにはまだ暫く居るつもりだからね。ここを出禁にされると、稼ぎ場に困るし…程々にしておくよ」
「そうしてくれ。俺の為にも、おとっつぁん達の為にもな──時に、お前」

ん、とボブの顔を見るJ。
視線を受けながら、ボブはJのシガーケースから煙草を一本引き出し咥え、火を点ける。そうして、ゆっくり深く吸い込んだ煙を肺から吐き出した所で、ようやく話を続けた。

「派手にかっぱぎ過ぎて、恨み買ったりとかしてないか。こっち来てから」

煙と共に吐き出されたのは、なんでもないような口調に反し、やや物騒な単語を含む問い掛けだった。その唐突なボブの問いに、暫し考えてから。Jもまた、なんでもないような口調でさらりと返す。

「…恨みを買う程の派手な勝負は、まだしてないなあ」
「“まだ”かよ。いつかする気かよ。まあ良い、じゃあ…そうだな」

一瞬──ほんの一瞬、間を置いて。ボブは、言葉を継いだ。

「“あっちの仕事”は。ここ最近で、何かあったか」
「や…、“あちら”は、この街ではしてないし…。この先も、しないと決めてる」
「ん、そうか。いや、な」

視線で話の先を促すJに、首筋を撫でながらボブは答えた。

「“J・フェブラリー”の身許を洗ってるのが居るらしくて、な。まだ、裏っかわは掴めて無いんだが」

ボルチニコフ・ブルーノ。愛称・ボブ──
現在は第一線を退き、ここ“雀荘 Bob”の店主として日々の手付きを得、暮らしているが。かつては情報屋として、裏の世界で名を馳せていた男だった。その頃に培った膨大なコネクションは、今も尚、健在。
そして今回。その蜘蛛の巣の如き情報網に、この旧知の友人を探る何やらが引っ掛かって来た、という事らしい。

「へえ。やあ、この名前で?…何だろうなあ?」

当事者にしては、あまりに呑気な様子でJが呟く。

「お前が分からんなら、俺にも分からん。…まあ、以前俺が流しといたでっち上げの身許で満足してくれる様なら、裏っかわもそう大したもんじゃないと思うけどな」

からり、と氷を鳴らしグラスを呷るボブ。こちらも、その表情に特別緊迫した様子は伺えない。

「むしろ、そこで引かないと面倒な事になるな。…あちらさんが。下手に藪を突つき回すと、蛇より怖い金髪の般若が出てきちまうぞ」
「…“金髪の般若”。
ふむ。偽の身許情報は、三重くらい流して無かったっけ。それ全部突破して、“本家”まで辿り付けたら大した物だよね。でも、この名前でそんな大層な相手と関わった記憶はないんだけどなあ…」

相変わらず、呑気を通り越して何処か他人事の様にさえ思える物言いをしながら。さりげなく“金髪の般若”と手帳に書き込むJを素早く見咎め、ボブが叫ぶ。

「…はっ。メモるな!お前、どうする気だそれを!」
「や、今度ユー兄さんに会ったら伝え…」
「伝えんで良い。記録禁止。俺の言葉はそう、一瞬に煌き散る花火の如し、だ」

良く分からない例えを言いつつ、ボブはJの手から手帳を奪うと、メモしたページを破り取った。先程自分が“金髪の般若”と揶揄し、Jが“ユー兄さん”と称した人物の気性を、ボブ自身も良く知っているからだ。怒らせるのは、兎角遠慮したい相手である。

「…まあ、とにかく。そういう動きがある、って事だけ頭の隅っこにでも突っ込んでおけ。また何か耳に挟んだら、その時伝える」

くしゃくしゃとメモを丸めながら、ボブはだいぶ歳下の友人に向かってそう、言い含めた。

「了解。その時は、宜しく。 …さて、そろそろねぐらに戻ろうかな。…じゃ、これ」

ひょい、とボブの手から手帳を取り返すと、Jは卓上に散らばったままの金から幾ばくかを取り分け、彼に向けて差し出した。

「場代にしちゃ、ちょっと多いな」
「情報料、込み」
「…もう、仕事じゃないんだがなあ。まあ、ありがたく貰っとくか」

Jの言葉に軽く苦笑を漏らすも、これもこいつなりの感謝の表現であろうと解釈し。ボブはそのままその金を受け取り、懐に納めた。

***

いつもの様に軽く挨拶を交わした後。ボブと別れ店を出たJは、明け方近い夜の匂いを嗅ぎながらふと──帰る先に最近出来た、同居人の事を思い出した。僅かに視線を巡らせ、何事か考える。

(…ああ、そうか。もし、“裏”が教会関係だった場合。もしもの時は、出来るだけ穏便に済ます様、先に兄さんに伝えておこうかな)

未だ人気の無い、暗い道。そんな事を思いながら、闇と同じ色のスーツを着た女は普段と変わらぬのんびりとした足取りで、家路へと消えて行った。
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COMMENT

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シジマの中の人 | URL | 2006/09/25(月) 21:37 [EDIT]
か…かっこよすぎる!

ここからリッシュモンド版『哭きの竜』みたいな
展開になるのを期待。

ヨツハ | URL | 2006/09/26(火) 21:45 [EDIT]
ボブさんも渋格好良ー!
でもマイフェイバリットバスカヴィルの、
次男のクライド様が最強だという事は揺らぎません今晩は。
(ただしJさんは別格)

サラサラ書きの報告書が切っ掛けで、
JさんのSS拝見出来るなんて…!
照れ嬉しい事をありがとうございます…!
いやもう、何かネタになりそうな事ありましたら、
何だってどんどん使ってやってください!

ユージンさんにあの形相で殴り込まれたら、
うちの弱小牧師なんて泣いて逃げるしか出来ませんよ。
お手柔らかにお願いします!
とか言いつつも、
それもそれで楽しそうだなぁとか思ってしまいました。

99雀 | URL | 2006/09/27(水) 14:35 [EDIT]
>シジマ(略)さん(略しおった!
え、かっこいいですか、うひゃ(※照れ奇声
これはJ以外オヤジしか出てない事による、オヤジ効果でしょうか。オヤジ万歳。←結論

リッシュモンド版『哭きの竜』…
と言う事は、Jは“おめぇの運をわしにくれやぁ~J~~”とか言われながら、
893のおっちゃん達と勝負したりする訳ですね!
何ですかそれ!楽しそう!(私だけが

>ヨツハさん
ヨツハさん、ボブに騙されちゃ駄目ー!
こっちのボブはだいぶ普通っぽいですが、所詮こやつの本質は影踏み小噺の方ですから!

フェイバリットバスカヴィル(うわぁ、何か過分な単語が…!)がアレという所に、
ヨツハさんの根の深いオヤジスキーっぷりがかいま見えて嬉しい限りです。同志よ…!(九十九はとても迷惑な同志認定をした!

ネタ拝借、快諾下さってありがとうございます!
報告書、ハルさんの見えない苦労が覗けて楽しいです。
再提出命令で、見れたもんじゃないと言われてしまった地図が凄い気になるよ…!
あと、鳩(笑)

ハルさんと金髪般若の邂逅って、ちょっとどうなるか想像つきませんね。
いつか、会わせてみたい気もします…!(笑)

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